可愛くないから、キミがいい【完】







「あと、半分残ってんだけど」

「知らん!すまんって、推しのお願いは絶対なんだわ。俺は今から受け付けやるわ。お前なら、その辺の女、簡単に捕まえられるだろ?悪いけど、つかまえた女とまわってよ~」


じゃあね、みゆちゃん。と、最後に粘着系のにやにや笑いで私に手を振った後、山路君は着替えるためか教室の中へ入っていった。

和泉しゅうと二人で取り残されてしまう。


去るに去れない雰囲気ではあるものの、これ以上和泉しゅうと一緒にいると地球の平和が保てないので、知らんぷりをして逃げようとしたとき、不意に手首をゆるい力で掴まれた。


心臓が居心地悪くはねて、苛立ちなのか戸惑いなのか、或いは、強烈な煩わしさなのか分からないものがいっぺんに襲ってきて、山路君もいない今、ためらいもなく和泉しゅうを睨む。




「何なわけ?」


声は、一応小声にしておいた。

和泉しゅうの目つきの悪い目がゆるやかに瞬きをおとす。その速度が、本当に、私は好きじゃないのだ。



「お前のせいだから、お前が付き合って」

「は?みゆ、スタンプラリーとか興味ない」

「俺はあるんだよ」

「みゆ、スタンプラリーとかするタイプの男、無理だし。和泉君に似合わないんですけど。そういうギャップ引いちゃうから。ていうか、前も思ったけど、学校祭だるいとか思ってそうな見た目のくせに楽しんじゃってるのも、みゆ、かなり引いてるんだから」

「勝手に引いてろよ。スタンプラリーもイベントごとも普通に好きだわ、悪かったな」



んべ、と舌を出される。


なんなの、本当に。一番最初に会ったときは、つれなくて仕方なかったくせに、いまは舌なんて出しちゃって。

一体どうして、本性をさらけ出した後の方が関わってくるのだろう。


掴まれた手首を振り払おうとするけれど、離してくれる気はなさそうで、腹が立つ。