可愛くないから、キミがいい【完】







「可愛いだろ?お前もどうせ思ってるくせに」



にたにたしている山路君の横で、和泉しゅうは涼しい顔をしてじっと私を見てきた。

別のお客さんが来てくれればいいのに、あいにく人の波は引いている。


私の本性を知っているからこそ、こんな格好では和泉しゅうには会いたくなかった。そもそも、どんな格好でも和泉しゅうには会いたくないのだけど。

答えを聞きたくなくて、山路君の腕にさりげなく触れる。




「山路君、受け付け早いけど交代してもらってもいい?みゆ、疲れちゃった。お願い」

「ええ、お願い?へへ、いいよ、交換しよ」

「本当?ありがとう〜」



ここからは、私の時代のはじまりだ。

さっき連絡先をもらった一番のイケメンに電話をかけて、どこかで待ち合わせをして、学校祭を回るの。その前に、この格好から着替えて、完璧な天使に戻る。


和泉しゅうのことを思考からも視界からも完全に追い出して、山路君たちの元から去ろうとする。




「じゃあ、和泉、悪いけどスタンプラリーの残りは、誰かとまわって」

「は?お前、13時までって言ってただろーが。あと1時間あるだろ」

「みゆちゃんの頼み、断れるわけねーもん!」

「は?」



そこで、さっきまで涼しい顔をしていたはずの和泉しゅうの眉間に、くっきりと皺がよった。

そのまま、ジロリと睨まれる。

なによ、と言いかけて、山路君の存在を思い出して、わざとらしく、こてん、と首を傾げておいた。