可愛くないから、キミがいい【完】








「…………え、」



手を中途半端にあげた微妙な状態で、思わず、一時停止してしまった。


その間に、山路君が私のところまで来る。

なんとか気を取り直して笑って手を振ったけれど、山路君の後ろにいる男の子から目が離せなくて。



イケメンだったからではない。

いや、恐ろしいくらいイケメンではあるけれど。


そんなのは、もうどうでもいい。

違う、そうじゃなくて、だ。





「みゆちゃん、お疲れー!」

「う、うん。山路君も楽しめた?」

「おう!早いけど一旦様子見に来た!」



笑顔が、ナノ単位で引き攣ってしまう。



「あ!こいつ、中学の時のバスケ部で一緒だった友達」

「……あ、そうなんだね?へえ、山路君バスケ部だったんだ。かっこいい」

「でも、こいつのせいでマジでモテなかったよ。女の子のほとんどがこいつに夢中!な状態だったもん」



そこで、山路君の後ろの人と目を合わせる。

相手も予想外だったのか、ほんの少し目を丸くさせていた。




偶然が重なり続けている。

もしかして、今年は厄年なのだろうか。