「昼から一緒に、まわんない?」
「えー、誘ってくれるんですか?嬉しい。でも、友達と回ることになってて、また聞いてみますね」
「えー、その子も一緒でいいからさ?」
「えへへ、とりあえず、中入っていきませんか?その後、また誘ってくれたら嬉しいなあ」
時には面倒な人たちもいるけれど、モードはずっと天使なので、鬱陶しそうな素振りなんてみせないであげる。
イケメンでもないくせにしゃしゃりでないでよ、とは内心思っているけれど。
目配せをして、しつこい人たちはおなじ接客係の佐々木君にバトンタッチする。
そんなこんなで、来てくれた人たちを捌いて、二時間ほどが経過した時だった。
日頃からの積み重ねがあるから、天使スマイルにボロが出ることは恐らくない。
一番イケメンだった人の連絡先だけワンピースの右ポケットにいれて、それに触れながら、午後からその人と一緒に学祭を回る計画を立てていたら、「みゆちゃーーん」といきなり聞き覚えのある声に呼ばれて、声の方へ顔を向ける。
そこには、手を大きく振る山路君がいた。
どうやら、昼からの接客に備えて戻ってきたみたいだ。
お客さんがいなかったので、スマイルを発動させて、手を振り替えそうとしたとき。



