可愛くないから、キミがいい【完】






「そういえば、みゆのクラスね、学校祭で映画喫茶やることになったよ」

「えー、何それ。楽しそう。パパ行っていい?」

「恥ずかしいから、パパは来ちゃダメ」



パパががっかりした表情で、頷いた。

テレビ画面では、主人公たちが川に落ちてしまうシーンが流れていた。もう何度も見てきた映画だけど、いつも、ハラハラする。


私は、映画を見ながら、パパとお喋りする時間も好きだったりする。



パパみたいなルックスで性格もいいなんて、奇跡だと思う。

可愛いが正義だと信じるようになったのも、自分でも本当は自覚しているけれど、その信念のせいで少しだけ性格が曲がってしまったのも、たぶんパパとママの性格がよすぎたからだ。


いいものといいものが混ざって生まれるものが、いつもいいものとは限らないみたいだ。

ルックスに関しては、遺伝子に感謝をせざるを得ないけれど。

小さい頃からパパと一緒に映画を見過ぎていたのも、今の私ができるきっかけになったと思う。