可愛くないから、キミがいい【完】





「みゆちゃんたち、どうする?俺ら、バンドの曲聞きに行くけど」



突然、とも君に話しかけられて、瞬時に気持ちを切り替える。

そうだ、一応、みんなで回っているんだった。

和泉しゅうのせいで、忘れかけてしまっていた。



「えっ、バンド!?みゆも、行きたいなあ」

「よしゃ、じゃあこれもみんなで行こうか」



何かに集中していれば、和泉しゅうのことも気にならなくなるかもしれない。



体育館に向かう。

中には、たくさんの人がいた。

私たちのように、他校の人も大勢きている。




薄暗くて、ステージだけが明るい空間だ。

暗いところにいる隙に、近くの男の子がこっそり私のことを誘ってくれたりしないだろうか。

そうしたら、和泉しゅうとはおさらばできる。




「お前、本当にバンド聞きたかったの?」


和泉しゅうが、耳打ちしてくる。

どうせ本当は聞かないんだろって、そういう感じの言い方が気に食わない。



「聞きたかったよ。バンド好きだし」

「へー」

「……言っとくけど、みゆ、詳しいんだからね」

「なに聞くんだよ」

「イロイロ」

「へー、イロイロ、ね」



暗闇でもわかる。
気に食わないって、そういう声だ。



お互い様みたいだった。

だけど、私のほうが和泉しゅうのことを気に食わないって思っている。

ため息をついてやろうかなと思った。

だけどそうする前に、和泉しゅうが、膝をこつんとあててきた。


セクハラだ。

勝手に触れるなんて、許さない。



ムカツクから、やり返したら、ははって笑う音がすぐそばで聞こえた。

なんで、和泉しゅうは、こんなに私を腹立たせてくるのだろう。