「いちごあめ、二個ください」
意味がわからない。
私はちっとも可愛くない最悪な態度をとっているというのに。
「ほら、食え。で、一回機嫌直せ」
「はあ?」
「俺はお前を怒らせたんだろ? で、お前は俺のこと溝に落とした。言っとくけど、くそ痛かったからなあれ。で、引き分けで、俺が、いちごあめ買ってやったから、お前が受け取らなかったら、お前のほうが悪いってことになる」
「なにそれ、あんたのほうが悪いし」
でも、このままじゃ本当に私のほうが悪くなってしまいそうで、そんなのは許せないので、受け取っておく。
ありがとう、なんて言ってやらない。
いらないときにくれるなんて迷惑行為だもん。
だけど一口齧れば、甘くて、じゅわりといちごの汁が舌先で溶けて、ムカつく男からもらったっていうのに、とてもおいしくて、悔しくなった。
ちびちびと齧りながら、和泉しゅうの隣を歩く。
はたからみたら、付き合っているみたいに見えるかもしれない。
和泉しゅうのせいで、可愛いってそういう熱のこもった視線だけしか受け取れず、だれも私のことを口説きにきてくれない。
完璧な容姿の男が隣にいるから、私に近づけないのだと思う。
和泉しゅうに勝るようなルックスの男の子が、あんまり見当たらないことにもムカついてくる。
やっぱり、彼は、害悪だ。
さっきから、ムカつくことしかない。



