可愛くないから、キミがいい【完】




また、唇がおりてくる。

ぎゅっと和泉しゅうの服を掴んだまま応えれば、徐々にキスの激しさは増していき、酸素が足りなくなりそうなところで、緩やかなものに変わった。

その緩急のつけかたがずるい。

下唇を食まれて、そのまま和泉しゅうの唇は滑るように首筋へ向かった。降り注ぐキスの合間で、和泉しゅうの手がパジャマの上から私の身体に触れる。

パジャマの一番上のボタンをはずして、鎖骨を甘噛みしてきたから、「っ、しゅ、う」と名前を呼んでみたけれど、無視された。

骨の形を確かめるみたいに口付けられた。

そんなことをされたのは初めてで、背中が震えた。

ちら、と視線をあげた和泉しゅうの目は、今までの何倍も艶っぽくて、ふぅん、とそれを受け入れる余裕も攫われてしまう。

パジャマのボタンだけすべてはずされて、中途半端に脱がされる。「…ちゃんと、脱がせて」と文句を言ったら、手首を掴まれて一度状態を起こされた。

そのまま、パジャマとキャミソールを脱がされてしまう。


「……しゅう」

「………ん?」

「しゅうも、脱いで」

「わかった」


和泉しゅうは、がばっと豪快に上に身に着けていたものをまるごと脱いで、雑にベッドの下に放り投げた。

思ったよりも筋肉質な素肌があらわれて、また背中が震えてしまう。

肩をつかまれて、ゆっくりと押し倒される。和泉しゅうは、額に優しいキスを落としてきた。そんなことをするような男だとは思っていなかったから、驚いてしまう。

もう、この男に恥ずかしさもふくめて何もかもを押し付けて、降参してしまおうと思った。


いつもは隠れている和泉しゅうの素肌に、はじめて触れる。

心臓の音が、触れられた部分から伝わってしまっているんじゃないかと思うと、やはり照れくさかった。たまらなくなって、吐息をもらしてしまった。


触れられた部分が熱くて仕方なかった。

キスにも、触れる指先にも。
というか、和泉しゅうのすべてに乱される。


時々、視線を合わせられて、妖艶な瞬きを落としてくる和泉しゅうの相手をしていたら、もう過去なんて、本当にどうでもよくなっていた。

私は、和泉しゅうが好きで、和泉しゅうも私が好き。だから、触れている。恥ずかしいのも、可愛さとかかっこよさとかそういうものが遠くへいってしまうのも、特別だからだ。


もっと、触れてほしくて、くるしい。