可愛くないから、キミがいい【完】



私はどういう顔をすればいいんだろう。

和泉しゅうが相手だから、分からないことがいっぱいあって、それでも、一つだけはっきりと分かっていることは、自分も同じ気持ちだということで。


「………しゅう」

「ん?」

「………仕方ないから、いい、よ」


恥ずかしくて、つんとした表情で顔を背けたら、たった今まで熱い目で私を捕えていた男が、はは、と軽やかに笑った。それで、すぐに、和泉しゅうに視線を戻してしまう。


「なんで、笑うわけ?」

「いや。いちいちツボだから。煽られて仕方ない」

「なにそれ。変なの」

「その変な男と付き合ってんのは、お前な」


そうだけど、私は変じゃないし。

む、と唇を尖らせてしまう。

文句ならいくらでも押し付けられる。だけど、そのほとんどに、恋心を含めてしまう。

自分に呆れて溜息を吐こうとしたら、上半身を微妙に起こして、私に覆いかぶさるような体勢をとった和泉しゅうのキスが、唇の端に落ちてきた。

そのまま、唇が滑るようにわずかに横へずれて、今度はしっかりと合わさる。

からかうように上唇を押し上げられたから、啄んで、自分から和泉しゅうの唇を食んだ。

どういう気持ちでいればいいのか分からなくて、一応、睨んでおく。



「しゅう」

「なんだよ」

「……違う女の子と、したことある?」



折れて付き合うことがほとんどだと言っていた。

だけど、どう考えても、キスは初めてじゃない感じだったし、今、私の上にいる和泉しゅうの態度から溢れている余裕からして、たぶん最後までしたことがあるんだろうなということは、分かっていた。

聞かなければいいのに、聞いてしまって少し後悔する。
だけど、聞いた後に後悔しても、遅いのだ。