可愛くないから、キミがいい【完】




和泉しゅうがいつも私にくれるものは、私の望む理想の愛情表現ではないけれど、こうやって、時々、予想外の愛情をうけとってしまう。

そのたびに、私はこの男が好きなのだと再確認させられる。悔しいことに。悔しいけれど。仕方がない。


「……しゅう」

「なに」

「……あんた、みゆのこと、結構、大好きなんじゃないの」

「は?」


何言ってんだよ、と追加の文句が飛んでくる前に、自分からキスをした。

可愛い上目づかいも、可愛い触れ方も、和泉しゅうが相手だったら必要がない。したいから、する。

私の中の照れくささでさえ、この男が傷つけてくることはないだろうと、馬鹿みたいな信頼感を抱いている。

唇をそっと離したら、和泉しゅうは少し驚いたような顔をしていた。


「……お前のタイミング、本気で意味が分からん」

「べつに、意味なんてないし」

「何だそれ。まあ、いいけど」


そう言って、今度は、和泉しゅうのほうからキスを落としてきた。唇を食まれて、お返しする。

戯れるような唇の触れあいに、あんたのことが好きなんですけど、と奇妙な熱量で思う。

唇を離して、なんとなく、和泉しゅうにぎゅっと身体を寄せたら、丁寧に髪を撫でられた。

それはでも、私が愛おしいというよりは、ただ髪フェチとかいう、この男の気持ち悪い癖のせいかもしれなくて、ちょっぴり複雑だ。



「つーか、これ、俺があげた髪留めだろ」


髪留めに触れられて、そんなことは会ってすぐに気づいてほしかった、と思いながらも頷いてあげる。


そうしたら、和泉しゅうは私の顔をのぞきこんできて。

「似合うな」

満足げに、ちょっとだけ笑ったのだった。