可愛くないから、キミがいい【完】




和泉しゅうが戻ってくる前に、本棚にある本や漫画の背表紙を確認する。漫画は私でも知っているようなバスケの漫画が多かった。

あんまり本を読むようなタイプだとは思っていなかったけれど、地味に読書家なのか、分厚い小説もたくさんある。

ベッドの脇には、参考書が何冊か積まれていた。

もう少しで進路のことを真剣に考えないといけない時期になる。和泉しゅうは、高校を卒業したらどうするんだろう。


そんなことを考えているうちに、和泉しゅうは、お茶とお菓子をもって戻って来た。

それをローテーブルの上において、私の隣にまた座る。

のぞきこまれるようにして至近距離で目を合わせられて、なに、と唇だけ動かせば、「腹減ってない?」とだけ聞かれた。そんなことは普通に聞けばいいのに、いちいち、そわそわさせないでほしい。


「べつに。……それより、みゆ、和泉しゅうの卒業アルバムとか見たい」

「いきなり、なんでだよ」

「玄関の写真、面白かったし。どんなんだったか気になるもん」

「見てもそんな面白いもんじゃないと思うけどな」

「いいから、見せてよ」


和泉しゅうは、少し嫌そうな顔をして渋々感満載で立ち上がったけれど、棚から二冊のアルバムを取り出してくれた。

小学校の卒業アルバムから見ることにする。

太腿の上において、開けば、少し古い匂いがした。

6年4組のクラス写真から、今よりもうんと幼い和泉しゅうの姿を見つける。これ? と指させば、ゲンナリした表情で和泉しゅうは頷いた。


「撮るの嫌だったわけ?」

「べつに。たぶん、まぶしかっただけだろ」

「変な顔」

「それ言いたいだけなら、もう見せねえぞ」

「違うけど、変なんだもん。別に、和泉しゅうっぽいからいいよ」

「俺っぽいって、俺なんだから当たり前だろ」


小学生の頃から、たぶん、和泉しゅうのことを好きな女の子はいたと思う。怖そうではあるけれど、もうすでに完成された顔をしているのが写真からよく分かる。

その後、頁をめくっていくと、行事事や授業中に撮られた写真がたくさんのっていた。

和泉しゅう以外には興味がないので、彼だけを探す。

運動会の写真では、パン食い競争の最中でパンめがけてぴょんぴょん跳ねている和泉しゅうが写っていた。なぜか、きゅんとしてしまう。