「なんで、俺に聞かねーの」
「………聞くまでもなかったもん」
「俺は、お前に聞かれたらちゃんと、違うって否定したけどな」
「だから、聞くまでもなかったからって言ってるじゃん! 元カノと頻繁に会うとか、元カノのSNSにたくさん登場するとか、みゆの常識ではありえないもん」
「お前の常識なんてこっちは、知らねーんだよ」
和泉しゅうの声が尖ったから、また怒り始めるのかと思った。だけど、和泉しゅうは、前髪をかき上げて、はーー、と溜息を吐いただけだった。
それから、少しだけ気まずそうに苦く笑って、「お前に知られたくねーけど、ダサいこと言っていい?」と、ゆるく首を傾げた。
「超ダサい」
「まだ、何も言ってねーだろ」
「…………………でも、ダサいこと、ぜんぶ、言ってくれないとゆるさない」
睨んだら、少し躊躇いがちに和泉しゅうが唇を震わせた。
「………罪悪感が、あった」
「は?」
「ちゃんと自分から好きになって、今まで、女と付き合ったことがないんだわ。つーか、付き合ってるときも、結局、ちゃんと好きになれなかったとかばっかなんだよ。そんなに元カノもいねーし、遊びとかそんなことは思ってねーけど、いつも、いまいち本気にもなれずに、結局、耐えられなくなって、喧嘩になって、別れてた。まじで、そういうのばっか。さっきの動画撮ったやつは、中学の時、同じクラスで、もともと友達だった女だわ。何回も告られて、振り続けるのも気まずくて、まあいいかって渋々、付き合ったけど、そんなんで、うまくいくわけないんだよな。そいつだけじゃなくて、たぶん、今まで付き合ったやつのことは、大抵、傷つけてきたと思う。気持ちも返せないし、嘘もつけねーから。ほとんどのやつに対して、俺は、申し訳ないなって、ちょっと思ってた」
「…………ダサいとかではないけど、ダサいよ」
「なんだよそれ。………で、まあ、だから、別れた後も、会いたいって言われたら、時々は会うようにしてた。でも、それだけだけどな。キスもしてないし、触れてない。そういうの、俺はしたいと思わないと、できない。さすがに、罪悪感だけではやれねーわ。写真とかは、どうでもいいから、それで満足するんなら撮ればって感じだった。それに、お前と付き合ってるって思ってたから、そっからは誰とも会ってない。お前がさっき俺に見せてきたやつ、めちゃくちゃ前だぞ。いつ投稿されたやつなのかは知らねーけど、あれ、お前と初めて会った時くらいのやつだわ。たぶんお前が見たって言ってる他の写真もかなり前のやつだと思うぞ」



