可愛くないから、キミがいい【完】





ドーナツ屋さんで、なほちんから和泉しゅうの動画を見せられたとき、元カノとよりを戻したと言われたとき、頭が真っ白になったことを思い出す。

胸が、散り散りになるほど痛くて、私を裏切ってばかりの世界に絶望したことを、昨日のことのように覚えている。



ぎゅうっと唇を噛んで、和泉しゅうを涙目のまま睨んだ。



そうしたら、和泉しゅうは、少しだけウンザリとしたような顔で、はー、と溜息を吐いた。

ウンザリの、矢印がどこに向いているかは分からなかった。




「広野みゆ」

「…………なに」

「俺はお前のこと、悪いけど、ぜんぜん、だいっきらいじゃない。むしろ、好きなのな」

「…………彼女、いるくせに、何、言ってるの?」

「は? いねーわ。つーか、笑ってくれてもいいけど、そばにいていいよってお前に言われたから、普通に、俺ら、付き合うことになったのかと思った。俺は、そのつもりで、結構浮かれてたけどな。そしたら、いきなり音信不通になって、トラウマになるかと思ったわ」

「っ、………馬鹿、じゃないの? そんなわけないじゃん。あんたに、みゆは、付き合って、って言われてない。好きとも、あんたは言ってくれなかった。……みゆも、言わなかったけど。…………それに、嘘、つかなくていいよ」

「嘘って何? なんも、ついてねーよ」

「彼女、本当は、いるくせに」

「は? いないって言ってんだろ」

「嘘つかないでよ!」



隠し通せるなんて、私のことを、甘く見ないでほしかった。そんなに、簡単じゃない。