可愛くないから、キミがいい【完】







「でも、俺は、お前が、好き」




和泉しゅうの声が鼓膜に届く。

その瞬間、時間が止まったような気がした。


この男は、いま、何を、言ったの。

だいっきらい、と続けられない。



泣き顔をさらしたまま、
じっと和泉しゅうを見つめてしまう。

生温かい涙が、つるりと頬を滑っていった。




「言い忘れてたら、いきなり連絡がとれなくなって、お前と会えなくなった。何回電話しても繋がんねーし、メッセージの返信もねーし、さすがに意味わかんなさ過ぎて、ありえねーほど腹が立った。俺はものじゃねーんだよ。人間関係なんて、一方的に終わせていいもんじゃない。そういうことしてたら、お前、だめになるよ。言っとくけど、今も、すげー、ムカついてる」



和泉しゅうの言っていることは、正論だ。だけど、絶対に、私の方がムカついていると思った。


悲しみがようやく今日、怒りに変わったのだ。とてつもない熱量の怒りが、和泉しゅうに向いている。


怒りって、どうして、ときどき、真っ黒じゃないんだろう。分解したら、恋とほとんど同じになってしまうような気がして、くるしい。