可愛くないから、キミがいい【完】







涙が、止まらない。

うぅ、と、ちっとも可愛くない獣みたいな声が喉の奥で漏れてしまう。


溝にはまって、尻もちをついている和泉しゅうの前にしゃがみこんで、顔を手で覆うこともなく、思いっきり泣いている。


ぼやけた視界の先で、怒っていたはずの和泉しゅうの眉間から、皺が消えていく。

目つきは相変わらず悪いけれど、気が付いたら、和泉しゅうは、優しい顔をしていた。



どうして、と思う。


ゆっくりと彼が瞬きをする。もう分かったよ、と言われたような気がして、また涙が溢れてくる。



「広野」

「っぅ、っ」

「みゆ」



あまりにも優しい低音だった。

そんな風に、今、呼ぶなんてずるいと思った。



「……だいっ、きらい」

「みゆ」

「ムカ、つく」

「なあ、」

「だから、あんた、なんてっ、
………みゆは、だいっきらい、なの」