可愛くないから、キミがいい【完】





これで、二度目だった。

だけど、一度目のときと同じ私ではなかった。

あの時とは、ちがう。



いま、あらゆる感情をこの男に抱いている。

たったの数か月だけど、私とこの男には、くだらない小さな歴史がすでにあって、最近、断ち切ったはずのなのに、いま、まだ、その延長線上にいる。




「おまえ、まじでふざけんなよ!!!」


転んで、溝に足をつっこんだままの和泉しゅうが、私を見上げながら、怒鳴った。

周りには誰もいないから、怒鳴り返すのに躊躇うことさえできなかった。


ふざけんなよ、は私のセリフだって、
何度言えば分かるんだ。



「あんたが、ふざけんなよ!!!!!」


叫んだ瞬間、目の奥がじんと熱くなって、
ぼろぼろと涙が溢れてきた。


泣くのは、和泉しゅうと会わないと決めた日以来だ。和泉しゅうの前では、可愛くいる必要がないのだから、もうどうせなら、泣き顔を見せつけてやろうと思った。


あんたには、隠さない。
あんたが、私のことを泣かせているの。

それを、分かって欲しい。分かってくれないなら今すぐここからいなくなって。なんて気持ちの悪い感情が、怒りよりも優勢になる。