顔をあげて和泉しゅうと目を合わせたら、さっき一度は収まったはずの怒りや悲しみがまたどっと押し寄せてきてしまう。
「なんなの!」
どん、と、両腕を振り上げて和泉しゅうの胸に躊躇いなく打ち付ける。
ほとんど体当たりのようになってしまった。
さっきまで、拒んでいたくせに、私が、いきなりそんなことをしたから驚いたのだろう。
和泉しゅうは後ろに後ずさろうとした。だけど、そのときに、自分の足がからまったのか何なのかバランスを崩して。
ちょうど道の脇にいたこともあり、ずる、と靴の底が擦れるような音の後、和泉しゅうが視界から消えた。
この男は、どれだけ溝に落ちたら気が済むんだろう。別に、また、溝に落とそうと思って、押したわけじゃない。
勝手に、和泉しゅうがよろけて、転ぶように落ちただけだ。



