可愛くないから、キミがいい【完】






唯人君が、今何を思っているのかは分からない。


だけど、もう、今日は、だめだと思った。今日だけじゃなくて、たぶん、明日も、明後日も、だめなんだと思った。


せっかく、好きになろうと頑張っていたのに。和泉しゅうのせいで、自分が、唯人君と付き合う未来があっさりと消えてしまう。


こんなところを見られた相手とは、幸せになれない。可愛くない部分を知られてしまった。

それでもなお、唯人君と一緒にいたいと思うほどの、気持ちは、私には、ない。





とりあえず、今は、ひとりになりたかった。

唯人君に向き直って、頑張って笑う。

ちゃんと笑えているかは、わからないけれど、
口を開いて、頭をさげた。



「………唯人君、ごめんね。また、連絡する。今日は、みゆ帰りたい。本当にごめんなさい」



辛うじての可愛い声で謝って、唯人君の返事を待たずに、背を向けた。


そのまま、ひとりで歩き出す。