「おまえ、人のこと舐めるのもまじでいい加減にしろよ。はいそうですか、わかりました、さよーならってなるわけねーだろ。アホかよ。こっちは、“そういうもの”じゃないし、その程度じゃない。お前の言ってることの八割も理解できてないけど、もうさ、そういう、意地っ張りなのか、本気なのか分かんないようなのは、今はいらねーんだわ」
「意地っ張りじゃない、本気なの!」
「じゃあ、なおさら、意味分かんねーんだけど。頭おかしいんじゃないの、お前」
「あんたのほうが、頭おかしいよ!」
負の感情をぶつけ合っている。
馬鹿みたいだ。
こんなところで、汚い感情をさらけだして。
どうしてくれるんだろう。
いま、透明になれるなら、なってしまいたいと、切実に思う。“可愛い天使な広野みゆ”は、粉々だ。
その破片を拾ってもくれないような男が、はー、と大きなため息を吐いた。
「うざすぎて、まじでしゃれになんない」
その言葉にまたムカついたけれど、もう和泉しゅうにぶつけたい言葉は私の中にはなくて、しばらく、口を閉ざしていたら、少しずつ、気持ちも落ち着いてきてしまう。
和泉しゅう以外のことを考える余裕がでてきて、ゆっくりと、唯人君に顔を向けた。
唯人君は、目が合った瞬間、引きつった笑みを浮かべて、目を細めた。
それは、私に軽蔑をした、というよりは、切なさを押し殺したようなもので、罪悪感が募る。



