嫌がっているとか、
そんな程度の生易しい感情ではなかった。
和泉しゅうを今、完璧に拒絶したい、という気持ちと、そうやってわざわざ引きとめるくらいなら私だけを好きになって私だけを見て可愛かろうが可愛くなかろうがすべての私をゆるしてあんたのぜんぶで私のことを特別に思え、なんて望んでないはずなのに心の奥でいきなり生まれた強烈な欲求が衝突して、めまいがする。
どうせ、私は、和泉しゅうの一番ではない。
だから、やっぱり、
拒絶しなければならないにきまっている。
力をいれて、ぐ、と和泉しゅうに掴まれている腕を引く。だけど、和泉しゅうは、それでも、離してはくれなくて。
プツン、と頭の中で、糸が切れた。
堪えていた感情が、溢れてきてしまう。
腕を振って解放を試みるも、かなわない。
本当に。
ふざけるのも、いい加減にしてほしかった。
「っ、離してよ……!!」
「離さねーって言ってんだろ」
「っ、みゆは、あんたなんて、だいっきらいなの!もう会わないって思ったの!先に裏切ったのは、あんただもん。あんたの、たったひとりの特別じゃないなら、誰かのかわりなら、もういいって思ったの!みゆは、そういうの、いらない。みゆには、必要ない。いま、せかいで、いちばん、あんたのことがきらいだから。最初からムカついてたし、やっぱりあんたなんかと出会わなければよかった。どうして、みゆの高校まできてるの? ちがうおんなのこと約束? みゆとは駅で待ち合わせだったよね。みゆのときは、迎えに来てくれなかったよね。でも、みゆは、もうそれも、どうでもいいよ。あんたは、他人だもん。みゆは、もうなんにも関係ないもん。だから、離して!きもちわるい!……もう!離せ、むかつく!」
サイアクだ。
こんなところで、天使とは真逆の自分をさらしてしまっている。
和泉しゅう以外のひとにも、知られてしまった。
唯人君も、それ以外のひとも、驚いていると思う。というより、軽蔑されてしまったかもしれない。
広野みゆは、
二重人格だって思われているかもしれない。



