勢いよく、視線を逸らす。
全然、どうでもよくないけれど、どうでも、いい。だって、隣には唯人君がいる。あの男のせいで、これ以上の不幸を感じたくない。
明らかに動揺してしまっていたけれど、必死に口角をあげて、唯人君をみあげる。
「なんでもない、です。ごめんね? いこう?」
もう、和泉しゅうのほうは見ない。
どうでもよくない相手であったって、もう自分とは関係がない。赤の他人として、通り過ぎればいいだけだ。
そう思いながら、唯人君に意識を集中させて、再び歩き出す。
唯人君は、少し心配そうな顔をして、「みゆ、どうかした?」と聞いてきた。繋いだ手に丁寧に力をこめて、小さく首を横に振る。
「まあいいや。今日は、俺の部屋にしよっか」
「う、ん」
和泉しゅうとの距離が徐々に近づいてくる。
「お部屋、楽しみだなあ」と、甘えた声を出す。
自分の声が少しだけ震えてしまった。
だけど、こんなことで天使は怯まない。
唯人君も私だけを見つめてくれるのだから、
私もそうしていればいいだけの話だ。



