引きずりたくないのに、引きずってしまっていて、共有したものを避けて、忘れたいと思っていた男。
ゆるせない。
もう二度と会わないと決めたのに。
姿を目におさめたら、必死で閉じ込めておいた悲しみが、怒りのかたちで、溢れてしまう。
最近ようやく、自分の望むあり方を少しずつ取り戻せていたと思っていたのに、それは、こうも簡単に崩れてしまうのか、と思った。
―――どうして、こんなところに、和泉しゅうがいるの。
本当に、どうしてなんだろう。
和泉しゅうが、校門のそばで、ただまっすぐにこちらに視線を向けて、立っている。
私の高校の人と約束でもしているんだろうか。
暇つぶしの私がいなくなったから、別の女の子と?私とは駅で待ち合わせだったのに、ここまで迎えに来たりするんだ?
頭の中が熱くて、ちっとも可愛くはない疑問符たちが暴れはじめる。
自分を、食い止めたかった。
和泉しゅうの視線は、いまだに私の方に向けられている。
どうして、とまた責めるような気持ちが生まれてぎゅっと唇を噛んだら、ひろの、と彼の唇が動いたような気がした。
その瞬間、もうこれ以上はだめだと思った。



