可愛くないから、キミがいい【完】






カラオケの終了の時間が近づいてくる。

そこからは、もう、戦いだった。天使の微笑みを貼り付けたまま、あの手この手を使ってなんとか和泉君の連絡先を手にいれることができた。



「SNSも電話も苦手だから、たぶん連絡滅多にしないけどな」と、天使の連絡先を手に入れた男の子には相応しくないことを言っていたけれど。

長期戦でもなんでも絶対に惚れさせたいので、
私からしてあげる。





「そろそろお時間になります」


店員さんが部屋に入って終了時刻を知らせてくれて、私たちはカラオケをでることになった。

みんながぞろぞろと出て行く中で、「俺、トイレ行くわ」と荷物を置いたまま行ってしまった和泉君に、部屋の最終チェックをしてもらうことにする。



私は、そこで一つ罠を仕掛けることにした。


部屋を去る前に誰にも見つからないように、和泉君のブレザーの上に、あるものを置く。


作戦開始だ。

収穫が連絡先だけなんて、やっぱりなんだかんだいって物足りない。