可愛くないから、キミがいい【完】





パパ、私、ママの順に並んで、私のベッドに座って、恋愛要素が一切含まれていない明るい気持ちになれるミュージカル映画を見た。



高校生にもなって幼いかもしれないけれど、未だに、パパとママには、ときどき甘えたい気持ちになる。

幼い、ちいさな子供に戻ってしまいたくなる。


明るいミュージカル映画だったのに、耐え切れずに、途中でぼろぼろと泣いてしまって、ぎゅっとママの手を握ったら、ママは頭を撫でてくれた。



「みゆが、泣いているところ、ママ、久しぶりに見ちゃった」

「……みゆだって、ときどきは、泣くんだもん」

「みゆは、パパとママのどっちにも似てないよね。強かに育ったなあって思ってたから、弱いところがあって、ママは、安心してる。でも、悲しい思いはしてほしくないよ」

「う、ん」

「みゆ。聞いていいかわからなくて、パパ、ずっと聞かなかったけど、今日、どうしちゃった?」



映画は大盛り上がりのシーンだというのに、パパは私の顔をのぞきこんで、心配そうな表情を浮かべた。ママは、私の頭を撫でたままだ。優しい、母親の手。

温もりには、色々な種類がある。


ふたりに、愛されていると、わたしはいつも実感している。家族には本当に、恵まれているから、それ以外の不幸が浮き彫りになる。なんて、贅沢だ。

でも、どれだけ贅沢な環境にいようと、悲しいものは、悲しいし、悲しむ権利はあると思う。