可愛くないから、キミがいい【完】





『しゅーう』という甘ったるい声に、顔をあげる和泉しゅう。

『ん、なんだよ』のぶっきらぼうな声。


映像に、感情が、殺されていく。


ヤキモチとかそんな生易しいものではない。

確かな関係でもなかったのに、勝手に、裏切られたような気持ちになっている。



「…………っぅ、」


視界が、ぼやけて、涙が溢れてきてしまった。

そうしたら、もうとまらなくて、嗚咽が漏れる。パパには聞かれたくなかったから、映画の音量を少しだけあげて、毛布にもぐりこんだ。




和泉しゅうにだけは。ほんとうの自分を見せていた。だから、和泉しゅうにだけは、私、傷つけられたくなかったのだと、思う。他の男の子だったら、きっとこんな風にはなってない。和泉しゅうだったから。


無防備な自分でいた。武装せずに、気持ちを預けてしまっていた。

だから、こうもあっさりと、ずたずたにされたのだ。鎧をまとわない、本当の自分でいればいるほど、容易く傷つけられてしまう。人間なんて、みんなそうだ。


誰にも押し付けたことのない、わたしの「特別」をたくさんあげていたのだから、和泉しゅうも、私にだけ、それを押し付けていてほしかった。

どうせ、こうなってしまうのだとどこかで分かっていたはずなのに、それでも好きになってしまったから、本当は、全部、信じてしまっていた。