パパが早く帰っているときは、大抵、リビングでパパと過ごすけれど、今日は、ただいま、の声もかけずに、自分の部屋へ直行した。
「みゆー?おかえり」と、パパの声が聞こえたけれど、返事をしなかった。
部屋にはいって、パタンと扉をしめた瞬間、力が抜けてしまう。ずる、とその場にしゃがみこんで、深呼吸をする。
まだ、心臓が忙しなかった。
ゆっくりと瞼をとじたら、暗くなった視界で、和泉しゅうの顔が浮かぶ。
いままでで、一番、悲しい気持ちになっているような気がした。
真っ只中だからそう思うのかもしれない。
狙っていた男の子と付き合えなかったときとは比べ物にならない。ちぃ君に振られたときも、もちろんすごく傷ついたけれど、それ以上に、今のほうが、どうしようもなく、傷ついている。
胸が痛くて、死んじゃいたい。
だけど、和泉しゅうが死因なんて絶対に、いやだ。
絶望に引きずり込まれてしまう前に、目を開けて、ゆっくりと立ち上がる。
一度部屋を出て、パパの部屋からプロジェクターを持ちだした。
足音を聞かれてしまったのか、パパが、もう一度リビングから、「みゆー、どうした? パパ、いるよー」と声をかけてくる。
今、一音でも何か声を発したら、止まらなくなりそうだと思った。



