このまま、話を続ける自信はなかった。
だって、何の話をすればいいの。
いちばん傷つけられたくないと思っていた相手に、こんなかたちで傷つけられるなんて信じられないって言えばいいの?
そんなことを、正直に話すのは、絶対に嫌だ。
自分よりも幸せそうな顔をした女の子たちに、不幸話を聞かせるなんて、プライドが許してくれない。
架空の相手との恋をでっちあげて、惚気るなんて虚しいことができる余裕も、今はなかった。
自分の、ドーナツを食べきってしまう。
さっきまで、とても美味しかったのに、もうまともに味わうことなんてできなかった。甘さでさえ、喉につきささる。
和泉しゅうがうつっていた数秒間の動画が頭の中にこびりついている。
『ん、なんだよ』『つーか、お前、動画撮ってる? やめろよ』『じゃあ、まあいいけど』『どーも』―――口の悪さも、放課後の時間も、何もかも、私にだけの特別なものではなかったんだ。
そばにいてやるよ、なんて偉そうなことを言っておきながら、和泉しゅうには、私ではない、本命の彼女がいたんだ。



