可愛くないから、キミがいい【完】




しゅーう、と甘ったるい声で和泉しゅうを呼んだ私ではない女の子の声。ファミレスで、一緒の時間を過ごしていたということ。和泉しゅうの動画をSNSに載せることができるくらい、彼とは仲がいいということ。日付は、一週間前。


動画から得られる情報はたったそれだけだったけれど、それ以外のすべても、分かってしまったような感覚に襲われる。



頭の中で、警告音が鳴っていた。

防御するための時間もなかったから、正面から食らっている。



なほちんが、携帯を操作して、その動画を投稿した人のプロフィールに飛ぶ。


何枚か、和泉しゅうの写真があった。

隠し撮りみたいなものが多かったけれど、そうじゃないものもある。

特定の男の子の写真を何枚も投稿できるのなんて、そんなのは、彼女の特権だ。



頭が、真っ白になっていた。

胃のあたりが、きりきりと痛む。



「ともきと一緒に遊んでたときに、暇になってふたりでSNS見てたんだけど、この動画見つけたんだよね。で、ともきに聞いたら、和泉くんの元カノだってさ。より戻したんだろうねーって、ともき、言ってた」


何にも知らないなほちんは、平気で笑っている。


元カノ。よりを戻した。

新たに加わった情報を、頭の中で並べて整理するまでもない。



綺麗な夕焼けが、ちかちかと点滅しはじめたように感じる。