可愛くないから、キミがいい【完】





―――『しゅーう』


と、甘ったるい女の子の声。

一瞬で、和泉しゅうに好意を抱ているのだと分かるような声音だった。


動画の中の和泉しゅうが、顔をあげる。

私は、彼から、目が、離せない。



『ん?なんだよ』

『ふふ、なんでもなーい』

『つーか、お前、動画撮ってる? やめろよ』

『どこにも載せないってば―』

『じゃあ、まあ、いいけど』

『今日も、かっこいいですねー』

『どーも』



そう言った和泉しゅうが目を伏せて、ジュースを飲む。



時間にしては、数秒だった。

だけど、とてつもなく長く感じた。


停止された動画には、目を伏せる和泉しゅうがうつっている。

何を考えているのかは読み取れないけれど、そこまで不機嫌ではない。



どうして、と思った。

和泉しゅう、あんた、なにしてるの?


どうやってそこから意識を逸らせばいいのかが分からない。



「これは、確定だね」と、マユが言う。

そうだね、確定、だね、と、頷こうとした。

だけど、首が動いてくれない。