可愛くないから、キミがいい【完】






「和泉君、お腹ペコペコだったの?」



私の質問に和泉君は頷きだけを返して、ぱくぱくと、スプーンにすくった苺と生クリームを口に運んでいる。



「和泉君が、いちごパフェとか意外だなあ」

「甘党なんだよ」

「ええ、本当に意外!みゆも甘党だよ?おそろい」

「だろうな。なんか、そうやって言ってそう」



隣から甘い匂いがただよってくる。

ほしいわけじゃないけど、和泉君の方を見てしまう。そうしたら、パフェに夢中だったくせに、和泉君はちら、と私に視線をよこした。



「食う?」

「えっ、いいの?」

「食べさしでもよかったら」


はい、と、パフェを差し出される。

食べさせてくれることを期待したのに、そういうわけにはいかないみたいだ。

ちょっと緊張したふりをして、パフェの端っこをスプーンに掬って口に入れると甘ったるさが口中に広がった。


甘いものは、本当に好きだ。


だけど、さっき美味しいって大袈裟に言ったら和泉君は吹き出してきたので、今度は控えめに何度も頷いて美味しさをアピールしておいた。