可愛くないから、キミがいい【完】







ちゃんと味わったのか不思議になるくらいの速さで、パンケーキを食べきってしまった和泉しゅうは、私が食べ終わるまで、終始満足そうな表情を浮かべていた。


パンケーキは結構なボリュームで、かなりお腹がいっぱいになってしまったので、夕食は抜くことにしようと決める。

食べ終え、ごちそうさまでした、と手を合わせて言ったら、和泉しゅうも真似をしてきた。



立ち上がって、席をあとにする。


周囲の女の子たちの冷たい視線をまだ感じている。いつになったらやめるつもりなの、とさすがに不愉快な気持ちになってきたので、和泉しゅうの腕をとり、身体をくっつけて歩くことにした。


和泉しゅうには、「周りの目がムカつくから、仕方なくなの」と、彼にだけ聞こえる声で正直に言う。

そうしたら、呆れ顔で笑われたけれど、和泉しゅうは、私から身体を離そうとはしなかった。




パンケーキ屋を出ると、少しだけあたりは薄暗くなっていた。甘ったるいパンケーキの匂いから、街の匂いに切り替わる。


そっと、和泉しゅうの腕を離したら、「もういいのかよ」と言われて、頷いたけれど、もう一度すぐに腕をとった。

和泉しゅうの言い方がなんだか憎たらしかったからだ。

そう、自分に言い聞かせる。



「みゆ、ちょっと寒いかも」

「別に、俺の腕は熱くないと思うけどな」

「……………じゃあ、離すけど」

「いや別にいい。つーか、次、どうする?ゲーセンか、カラオケか、公園で話すでもいいけど。あとなんか、違う候補があればそれでもいいし。広野、何したい?」

「みゆは、カラオケの気分」