可愛くないから、キミがいい【完】






「やだ」


その拒否にどういう気持ちが込められているのかは分からなかったけれど、彼がこの状況を楽しんでいることは確かだった。そういう顔をしているから。


「はー?なんでだよ、うぜえ、しゅう」

「なんとなく」

「なんとなくって、」

「あと、何も利害一致してないから」

「マジでしゅう来る前はいい感じだったんだぞ?」

「数あわせで呼んだのお前らだろーが。好きなようにやらせてもらうわ」

「そういうつもりで来てないってさっき言ってなかったか?」

「言った。そういうつもりで来てないし」



どういうつもりだよ、とふて腐れたような顔を作ったあおい君を、和泉君は軽く受け流していた。

そのまま、するりと視線を私に向けた彼はなぜか、ふはっ、といきなり吹き出して、お腹をふるわせて笑い出す。


なに?と思いながらも、天使なので怪訝そうな顔はしない。

和泉君は一頻り笑い終えると、細めていた目の端を人差し指で擦って、はー、と息を整えだす。



「本当に笑える」

「はー?俺が、か?お前なあ、人が落ち込んでるの見て笑うのは、まじで鬼畜だと思うぞ」

「違う、あおいじゃない。てか、あおいはさっさと戻れよ。せめーんだよ」



しっしっ、っと和泉君が手を払ったら、あおい君は渋々、なほちんの元へ戻っていった。

それをゆるふわ笑顔で見送って、和泉君に視線を戻すと、かちりと瞳が合わさる。

本当に愛想の欠片もない瞳の色。



「あおいは、なし?」

「え?」

「で、俺はありなんだな」

「うん?」

「ギラギラ、キラキラ、忙しいのな」

「えっと、どういうこと?」

「んー」


訳の分からないことを言ったと思ったら、すぐに、和泉君は私から目をそらしてしまった。