可愛くないから、キミがいい【完】







駅に着く前に、一応、制服のポケットに入れていたコンパクトミラーを取り出して、髪を整えておく。


今日は、おきにいりの髪留めをしているし、リップだって特別なものだ。

欲しい言葉をくれない相手と会うのだから、開き直ってめいいっぱい可愛い自分でいたいという気持ちは今も健在だった。



駅に着いて、中へ入ると改札のそばの壁によりかかっている和泉しゅうをすぐに発見した。


耳元にはイヤホンをしていて、視線は、携帯の画面に注がれている。どうせ、映画か何かでも見ているのだろう。


私が近づいても気づかないから、少し腹が立ってくる。だけど、駅には、和泉しゅう以外の人もたくさんいるので、ムッとした顔はしないでおく。



和泉しゅうの前に立ち、顔をのぞきこんだところで、ようやく和泉しゅうは私に気づいて、携帯から目を離した。


イヤホンを外して、「悪い、気づかなかった。そんで、おせーよ」と、謝罪と文句をいっぺんにぶつけてくるのだから、呆れてしまう。