和泉くんは、私とあおい君を交互に見比べて、どこか含みのある表情で目を伏せる。
それから、マイクを膝の上に置いて、あおい君に向かって意地悪く笑った。
「あおい、こいつに気があんの?」
“こいつ”じゃねーよ、みゆだよ。なんて、天使らしからぬ口調の悪いツッコミは心の中だけでとどめつつ、表面上は微笑んでおく。
「うわ。しゅう、そういうところあるよなあ。本人の前でわざわざ聞くかー?」
「はは、うん。聞いた」
「あるから言ってるんじゃん。交換しよ、場所。しゅう、結構前に付き合っていた子、なほちゃんみたいな雰囲気の子だったじゃん。顔とか似てるし。タイプだろ?ほら、利害の一致」
え、そうなの? 元カノ情報は聞き捨てならない。
なほちんは、化粧も濃くてちょっとだけギャル。つまり、和泉君はケバい子がタイプなのだろうか。
でも、意外、ではないかも。
しっかりとした二重なのに目つきが悪いところも、ツーブロックの上でゆるくあてられたパーマも、隣に並ぶ女の子はピュアというより、ギャルの方が似合うかもしれない。
それを変えるのが私のつもりだ。
「んー、どうしよかな」
曲はもう二番が始まっていたけれど、和泉君は歌うつもりがないらしい。
代わりに、コータ君とトシ君が適当に歌っていて、それに私以外の女の子たちがケラケラ笑っていた。
「頼むってー」
「んー」
眉をわずかにひそめて悩むふりをしてみせる和泉君。
ドリンクをストローでちゅうっと吸い上げて、一度、目つきの悪い横目で一度私を見やってから、口を開いた。



