可愛くないから、キミがいい【完】





ぐす、と、ついには鼻を啜ってしまった。


そうしたら、はは、と背中のほうで和泉しゅうが笑う音が聞こえて、不意に、頭の上に温もりがのった。


それが、和泉しゅうの手のひらだと気づくのに時間はかからなかった。

ゆっくりと、あやすような手つきで、頭を撫でられる。まるで子供扱いだ。




「……やめてよ、」

「髪フェチって言ってるだろ」

「やめてってば。気持ち悪い、」

「やめない」

「………何なの、本当に」


髪フェチだから撫でられているわけではないということくらいは、分かる。でも、この場合、確かに、髪フェチだという理由が、一番マシなのかもしれなかった。



和泉しゅうに頭を撫でられていたら、次第に泣いていたい気持ちも収まってきてしまう。


雑だけど、この男が、
本当に優しい撫で方をするのだと初めて知った。

本当は、知るつもりのなかったことだ。