可愛くないから、キミがいい【完】





「もう少しつめられないわけ?狭いんだけど」

「あのな、こっちもせめーんだよ。我慢できねーの?」

「我慢するけど、文句くらい言いたいもん」

「文句ばっかり言ってんのも疲れると思うけどな」

「……和泉君が?」

「どっちも。お前も俺も。疲れるだろ」



だって、分からないからだ。

文句はたくさん溢れてくるし、それを押し付けることだけは、自分の中でスムーズにできている。

それ以外、上手くいかないのだから、仕方ないじゃない。



もぞ、と和泉しゅうが身体を微かに動かした。

その振動が、直に伝わる。



視線を感じて、そっと横に目を向けたら、「広野」とクリアではない低音で名前を呼ばれる。

綺麗な声ではないのに、優しく私の鼓膜を震わせるから、逃げたくなった。



「………なに?」

「警戒してんの?」

「……してない」

「手出さねーから、そんな強張った顔しなくていい」

「強張った顔なんてしてないし」

「してるだろ」

「してないってば」

「慣れてるんだろ」

「慣れてるよ! だけど、みゆ、……そういえば、お泊りは初めてだったんだもん。本当に、そういえば、だけど」

「へー」