可愛くないから、キミがいい【完】




「俺は奥がいい」


そう言って、和泉しゅうは毛布をめくって、ベッドに上がった。



自分だけ突っ立っているままでいたら、過剰に意識している風に思われるのではないかと思って、つとめて平然を装って私もベッドに上がる。

他の男の子に接するように可愛い自分でいられたら、こんなときもなんなく状況に対応できるのだろうけど、今、どうすることが正解なのか分からなくて、黙ったままでいるしかない。



「やっぱ、シングルに二人はせまいな」


毛布の下で、和泉しゅうとほんの少し身体が触れあっている。


もう大嫌いだとは思えない相手。

そのことは、悔しいけれど、認めている。

だけど、この状況においては、
嫌悪感だけを抱えていたかった。

直面するのは避けていたのは、嫌悪感以外を抱く自分なんて一つも知りたくなかったからだ。



可愛い女の子としての私を躊躇いなく切り捨てたあげく、ムカつくことばかり言ってくる。

全然、ちやほやしてくれない、ホラーが苦手で、甘いものが好きで、イベント事も好きで、髪フェチで、いくら顔が良くても、それ以外最低な、理想とはかけ離れた男。


和泉しゅうという男の前にくっつける修飾語を、今の私はたくさんもっていて、その全てをどう破壊すればいいのか分からない。