放送されているホラー映画は、以前にも家族で見たことがあるもので、テレビで放送できるくらいの比較的マイルドなものだった。
それでも、苦手な人にとってはハードなのだろう。
どうして、和泉しゅうに対しては、意地悪な気持ちになってしまうんだろう。
困らせたいのかもしれない。
でも、困らせて、その後どうしたいのかは、自分でもよく分かっていない。
「もういい。俺、寝るわ」
立ち上がって、ベッドへ行こうとする和泉しゅうを慌てて引き留める。
咄嗟にズボンの裾を掴んだら、かなり嫌そうな顔をしていた。
目つきが悪いので、見下ろされると、やはり少し怖気づく。
魔界にぴったりの、悪魔みたいな顔。
ここが引き際なのかもと思いつつ、「ホラーは一人で見るものじゃないの」と口からは、全然気持ちとは違う言葉が出てきてしまう。
「は?」
「みゆだって一人で見るのは嫌だし」
「じゃあ、見なきゃいーだろ」
「だから、見たいけど、ホラーは、ひとりで見るものではないの」
「なに。つまり、一緒に見ろと?」
「そう言ってるんじゃん」
可愛こぶったわけではないけど、必然的に立っている和泉しゅうのことを上目で見ることになる。



