可愛くないから、キミがいい【完】




そうこうしているうちに、
和泉しゅうはお風呂から戻ってきた。

髪は完全に乾ききっていないし、服はゆるっとしたはる兄さんの部屋着なのに、雰囲気はお昼どきと何にも変わらない。



両の手にはアイスを持っている。

見上げたら、「はい」と、まるで自分が買ったアイスであるかのようにそのひとつを投げてきた。


確かにはる兄さんは、アイスも一本ずつなら食べてもいいって言っていたような気がするけれど、そこまでは普通に遠慮する。


私のすぐ隣に腰をおろして、アイスを食べ始めた和泉しゅうに対して、大げさにゲンナリとした視線を送る。




「和泉くんって図々しいね」

「図々しくても、風呂上がりのアイスは絶対だろ。はる兄、いいって言ってたし」

「みゆは、この時間からアイスなんて食べないし。肌荒れするもん」

「じゃあ、俺がお前の分も食うから、寄越して」

「え、二本食べる気なの?」

「うん」

「……じゃあ、やっぱり、みゆが食べる」

「は? どっちだよ」

「みゆが食べるってば」



アイスを咥えている和泉しゅうの眉間に皺が寄る。どうせ、最初からそう言えよって思っているのだと思う。

表情から、それが読み取れてしまったけれど、気にせずアイスの包装を破り齧る。