可愛くないから、キミがいい【完】





「悪くなくなくねーの」

「みゆは、悪くなくなくなくない」

「は?それ、どっち。めんどくさ」

「だから、めんどくさいも、みゆの台詞なんだってば」



くだらない会話も、悪くなく、ない。

容姿以外のところで、和泉しゅうの最低じゃないかもしれない部分に強引に触れさせられているみたいで、嫌だった。

いつもなら、容姿以外はどうでもいいって思えるのに、その強引に触れさせられた内側に、今はなぜか、感情が揺れてしまうのも嫌だった。


さっきから、嫌だ、ってたくさん思っているのに、全部、それが本当かどうか自分でもよく分かっていないのが、一番、いやだ。


天使ではない自分でいるせいで、
何にもうまくできない。

ここは魔界か何かなわけ? 



「まじで、意味が分からん」

「しつこいんですけど。それに、……みゆは、別に、こういうの慣れてるから、本当はどうってことないもん」



なんて、嘘。

どうして、自分がそんな嘘をいきなりつこうと思ったのかは分からないけど、たくさん嫌だって思っている状況を壊したかったからかもしれない。


唯人君とかそれ以外にも、ある程度信頼している人で、一人暮らしをしている男の人の部屋には行ったことがあるけれど、お泊りは、さすがにしたことがない。


和泉しゅうに対して、つん、と澄ました表情をつくって、唇を結ぶ。