可愛くないから、キミがいい【完】







「仕方ないし、次も折れないようにしてやる」


なんだか、和泉しゅうの目つきの悪さにも慣れてきつつあった。

“次も”、なんて、もう会うつもりもないはずなのに、当たり前のように言うのが、嫌だ。偉そうに目を細める彼に、なぜかドキリと高鳴った自分の胸も。この状況も。


揺れた心を悟られないように「ふぅん」と、当たり障りのない相槌を打つ。



「広野」

「……なに?」

「言うと、今日でもう、俺は全然悪くないかもになった」

「はい? 意味わかんないこと言わないでよ」

「大したこと言ってねーから、分かるだろ」

「……一応言ってあげるけど、みゆは、全然、悪くなくないからね」

「ふは、それ言うと思った。やっぱ、ウゼェ」


ウゼェって言いながら、和泉しゅうは、全然、ウゼェって顔をしていなくて、私はなぜか許されている気分になった。

許してもらうようなことなんて何もないのに、
許されている感覚。


変だ。むずむずして、苦しい。


悪くない、なんて、
そんなことは言ってくれなくてもいい。

思わせぶりな言葉を、他の男の子から受け取ったら、そのまま真っ直ぐに受け止められるけれど、和泉しゅうから押し付けられても、どう受け取ればいいのか分からない。どう捨てていいのかも。

可愛いさを受け取る気がない人間は、どこまでも最低でいてほしい。