可愛くないから、キミがいい【完】





「なんか胡散臭」

「へっ、なんて?」


ぼそりと呟かれた和泉君の声はうまくは聞き取れず、彼の口元に可愛く耳を寄せたけれどもう一度言ってくれることはなかった。


ミーナが歌い終わって、曲をいれる機械が私と和泉君のところまでまわってくる。

ほら、と私に渡してきた。



「次、広野が歌う番」

「えー、みゆ、もう少し和泉君と喋ってたかった。あ、ねえ、一緒に歌う?」

「や、いいわ。絶対に趣味合わない自信ある」



速攻却下とか何様だ。どこでそんな自信をつけたっていうんだろう。

ぷくってほっぺを膨らませて可愛く睨んだら、「可愛いー」って、―――あおい君が向かいから一言くれた。

その言葉をもらいたかった相手は、私の隣で何も気にすることなく、携帯を触りながらドリンクを飲み始めた。



仕方がないから、ひとりで歌う。

今流行のドラマの主題歌。マイクを両手でもって、少し恥ずかしそうに歌うのが天使流だ。


和泉君は私が歌っているときも、ずっと携帯を触っていた。

コウタ君とかミーナが歌っていた時は割とちゃんと聞いていたくせに、感じが悪い。

こっそり、画面をのぞいたら、銃の撃ち合いの映像だった。どうやらゲームをしているらしい。


どタイプのイケメンじゃなかったら、今すぐメロンソーダを思いっきり顔面にぶちまけてやりたいくらいにはイライラしてくる。

辛うじて許せるのは、音に合わせてかすかに口ずさんでいるからだ。