可愛くないから、キミがいい【完】





隣に並んで、軽い夕飯にする。


クラムチャウダーはすでにぬるくなっていた。

和泉しゅうは、豚汁とおにぎりを二つを自分の前に並べて、ぱくぱくと食べている。その脇には、プリンもあった。


もくもくと食べる和泉しゅう。

テレビからはバラエティー番組の音が聞こえているけれど、沈黙が少し嫌で、「なんか、喋ってよ」と文句を言う。


「お前が、喋れば?」

「みゆは、喋ることないんだもん」

「じゃあ、別に俺も喋らなくていいだろ」

「あ。………クラムチャウダー、買ってきてくれたのは、ありがとう」


一応、言いそびれていたから、感謝の気持ちだけ伝えることにする。本当に、一応だ。

お礼を言って、ちらっと和泉しゅうの方をうかがったら、彼は、「言うの、おっそ」とゆるく笑った。



「じゃあ、なんか喋るけど、今日の昼間、お前化粧してた?」

「してたけど。和泉くんでも、そういうの気づいたりできるんだ」



和泉しゅうの視線がバラエティー番組からこちらに向く。


じいっと顔を見られる。

さっきは気づいていないと思っていた。
どうでもいいような感じだったから。

だけど、一応、気づいてはいたみたいだ。



改めて、見られると、和泉しゅうが相手でも恥ずかしくて、だけど、自分から目を逸らすのは何かに負けてしまうことと同じであるような気がして、仕方なく私も和泉しゅうを見つめたままでいる。