可愛くないから、キミがいい【完】






途中で、薬局を見つけて、泊まるために必要になりそうな諸々だけ買ってしまう。


和泉しゅうには、薬局の前で待っていてもらった。ひとつも可愛くない下着とか、宿泊用のワンデイのセットとか、それ以外のものも見られたくはなかったから。


可愛いも受け取ってくれないような相手に、可愛いの裏側だけ、知られるなんて嫌だ。



和泉しゅうの携帯に送られてきたらしい地図を頼りに、数十分ほど歩いたところで目的地に着く。


和泉しゅうに続いて、エレベーターに乗り込んだ。「415だってさ」と言う和泉しゅうに、緊張を悟られないようにつんとした表情のまま頷く。



どんな人なのだろう。

和泉しゅうみたいな人だったら困るし、夜を共にするとなると、逆に、可愛さにすぐに落っこちてしまう人であっても困る。

そんなことを思いながら、エレベーターから降りて歩いていたら、あっという間に415号室の前に辿り着いてしまう。