「なんでこんなことになってるの」
「本当だよ」
「みゆのお家も今日だけ放任主義みたい」
「で、泊めてもらう?」
「……さすがに、お願いしないとだめ」
ん、と言って、和泉しゅうはまた携帯を耳に押し当てていた。電話の向こうの声が、かすかに聞こえてくる。どうやら、男の人みたいだ。
どうしよう。
泊めてくれるって言ってくれているのに、やっぱり、少し悪い想像をしてしまう。
だって、男の人に力ではどうしても勝てない。
それに、パパ以外の人なんて、よく知っている人じゃなければ誰であっても、どこか、信用できない部分がある。
これから、自衛のできないような空間にいくのかと思うと、なんだか怖くて、電話を切り終えた和泉しゅうに、仕方なく、「ちょっと、みゆ、不安なんだけど」と弱音を漏らす。



