♪ほーしふーるよーるに、きみをーさがしーてー♪

 パタパタパター・・

 白い鳥の羽ばたく音が聞こえる午後、ひとりの女の子は窓を見つめて座っていた。

 「あーぁ。白い鳥が行っちゃったょー。ねぇ、ママー。」

 ママー。と言われ振り向いた赤毛の美しい人が言った。

 「あーら。どうしたの?白い鳥さんはね、あなたの知らないところへ行っちゃったの
  よ!ブランダ。」

 「ん?そうなの、ママー?」

 ブランダと言われた女の子は不思議そうに首をかしげた。

 「そうよ。」

 ママと言われた女の人はにっこり笑って女の子の頭をなでた。

 ブランダは、なでられたことが嬉しくってクスクス笑った。

 「うそだー。ママ、あたしはね、知ってるよ!白い鳥さんたちがいったところ!」

 そう言って、また、クスクス笑った。

 ママと言われた女の人はまた、笑って女の子の頭をなでた。

 「そうかしらー?ママは知らないなー。きっと遠くーのお空にいっちゃったのよ!ブラ  ンダ。」

 ほんとう?という顔をしながら、ブランダは考えた。

 「わたしも行きたいな。」

 鳥さんになって、お空を飛びたい!

 ブランダはまた、窓の外を見た。

 もう、いない、いちゃったんだ。

 それから、ふぅ、と息を吸い込むと鈴がなるような声でつぶやいた。

 「ママー。きいてよー。わたしね、歌を作ったんだ!」

 ママと呼ばれた人は、ん?というような顔で尋ねた。

 「どんな、お歌さんなの?ママに聴かせて。」

 「うん、いいよー。この歌はね、みーんなが幸せになっちゃう歌なんだよ!」

 そう言って、もう一回ふぅ、と息を吸い込むとまた、鈴の鳴るような声で歌い始めた。