オフィスラブはじまってました

「へえ。
 じゃあ、今はラブラブなんだね。

 そうは見えないけど」
と柚月は水橋に言われていた。

「いや、結婚の話だけが進んで、なにもラブラブにはなっていない」
と柚月は言って、

「それはそれで、らしいけど。
 まさか、初夜までなにもしないつもりなの?」
と水橋に笑われる。

 ……うーん。
 ミノムシの殻を脱がしたところで、パジャマ着たハムスターが出てくるだけだしな。

 そんなことを考えていたとき、ちょうどこちらを見ていたひなとと目が合った。

 二人目を合わせて、他人行儀に微笑み合う。

 そもそも人に言えと言われたことを言い、それを受けただけの関係だったので、お互い、まだ恋人同士になった実感がなかったのだ。

 だが、このままではいかんっ!

 そう柚月は思っていた。