オフィスラブはじまってました





「すみません。
 結婚式は七月になりました」
とひなとは次の日、社食で謝った。

 みんながあれだけ、六月六月、と騒いでいたからだ。

 だが、
「いや、なによ、その急展開」
と惟子たちに驚かれてしまう。

 いや、あなた方が言ってこいと言ったんですよ……とひなとは思っていた。

 まあ、私も怒涛の展開にまだついていけてないのですが。

 っていうか、あのあとも、
「では、今週末から双方の親やおじいちゃんおばあちゃんに挨拶して回ろう」
という業務連絡みたいな話をしたあとで別れてしまったし。

 恋人同士になったという実感はない。

「まだ全然話についていけてないんです」
とひなとが呟いている頃、北側の窓際のテーブルでは、柚月と水橋が同じような話をしていた。