オフィスラブはじまってました

「ちょっとやり直さないか?」

「え? 何処からですか?」

「お前が入ってきたところからだよ」
と言われたので、素直に廊下に戻ってみた。

 ピンポン、と鳴らしてみる。

 柚月がすぐにドアを開けた。

 こちらがなにか言う前に、
「ひなと。
 お前が好きだ。

 七月に結婚してくれ」
と柚月は早口で言ってきた。

 まるで、先に言われまいと焦っているかのように。

 そして、自分で言っておいて、
「……七月が刷り込まれてしまったな」
とちょっと困ったように呟いていた。

 笑ってしまう――。