オフィスラブはじまってました

 だが、緒方はひなとの両腕をつかんだまま言ってくる。

「日曜日……。
 ニセの恋人を演じてもらったが。

 久しぶりに家族みんなで遊んだりして。
 輪の中心にはお前がいて」

 楽しかったんだ、と緒方は言った。

「そんな日常が、作り物のまま終わるんじゃなくて。
 このまま永遠に続けばいいと思ってしまった」

 緒方が近づき、ひなとはまた逃げる。

「あっ、あのっ。
 私なんかにそんな風に言っていただいて、誠にありがとうございます。

 でも……」
と言いかけたが、こちらが言う前に緒方が言った。

「なんだその、せっかくご応募いただきましたが、厳正なる抽選の結果、落選しましたみたいなの」

 落選してるのは知ってる、と緒方は言う。